「高額療養費制度の見直しに関する声明」JFSW(日本ソーシャルワーカー連盟)
高額療養費制度の見直しに関する声明
現在、厚生労働省では、高額療養費制度の見直しの議論がされていますが、この度の議論では、本年8月より各所得区分ごとの自己負担額の引き上げ、来年8月より外来特例の見直しが行われる内容となっています。本見直しは、受診抑制や治療中断が危惧され、その後の患者自身の生活に大きな影響を及ぼすことが予測されるだけではなく、受診控えによる医療提供体制側への影響も懸念され、議論が不十分だと考えます。
今後の人口動態を見据えた持続可能な社会保障制度の継続性を念頭におかれた議論であることは理解いたしますが、日々、医療機関を中心にソーシャルワーカーが受けている経済的な相談の中で、高額療養費制度が「がん患者等」の医療費負担軽減策の対象とならないことや対象期間が月ごととなることにより自己負担額が倍増する事例、感染拡大等の影響で入院期間が長引いた結果自己負担額の増加に繋がる例などが多数発生しています。
国民のいのちと生活を守る医療提供体制、社会保障制度の構築が求められる中、その目的は国民一人一人の健康増進、その人らしい生活を住み慣れた地域で続けることです。受診控えや治療中断はあってはなりません。今回の高額療養費制度の見直しはその目的と合致しているとは考えにくく、この度の高額療養費制度の見直しの再考をお願いするとともに当事者の実態を踏まえた制度構築を望みます。
2025年2月10日
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳
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